(1)呼吸器疾患
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
以前は肺気腫と呼ばれていた病気です。息切れ、咳、痰などの症状が特徴で、ほとんどの場合タバコが原因です。タバコの煙に含まれる有害物質が肺の中の肺胞、気管支、気管を破壊することで発症します。診断には肺機能検査(スパイロメトリー)が有用です。
治療の大原則は禁煙です。薬物治療を行ったとしても禁煙できなければCOPDの進行は抑えることができません。どうしても禁煙できない方は当院の禁煙外来受診をお考えください(保険診療)。
吸入薬が最も有効な薬物治療です。またCOPDの患者様は肺炎を発症した際の致死率や肺癌を合併するリスクが高いため、定期的なワクチン接種や画像検査が必要となります。
気管支喘息
気管支喘息は肺の空気の通り道である気管支が狭くなることで呼吸が苦しくなったり咳が出たりする病気です。気管支の慢性炎症が原因であり、敏感になっている気管支が、ホコリや排気ガスなどの僅かな刺激により狭くなり発作を引き起こします。原因となる慢性炎症の治療が最も重要であり、吸入薬や内服薬などにより治療を行います。喘息は治療を行わずに放っておくと、徐々に気管支が硬くなり症状が不安定となり、最悪の場合は死に至る可能性があります。治療の継続がとても大切です。
アレルギー疾患(花粉症など)
アレルギー物質が体内に入るとIgE抗体という物質がアレルゲンを認識し、肥満細胞に取り込むことでヒスタミンと呼ばれる物質が放出されます。あまり知られていませんが、成人発症の気管支喘息もアレルギーが原因のことがほとんどです。アレルギーの治療はアレルギー症状の原因であるヒスタミン、もしくはヒスタミンを放出するアレルギー反応を抑制することが大原則となります。治療の詳細についてはこちらをご参照ください。
肺炎
肺がウイルスや細菌に侵されることで発症する病気です。高齢者での発症が多く、85歳以上では死亡原因の上位に入ります。肺にもともと病気がある方(COPD、間質性肺炎など)では重篤になるリスクがあるため、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンなどの予防策がとても大切です。
睡眠時無呼吸症候群
眠っている時に呼吸が止まる病気です。日中に眠気や集中力の低下が出現し、重大な事故を引き起こす可能性があります。また心不全、脳卒中、高血圧、糖尿病などの生活習慣病との関わりが近年注目されています。眠気などの症状がない方でも睡眠時無呼吸症候群が隠れており、生活習慣病の原因になっている可能性があります。高血圧などが中々改善しない場合には精査をお勧めします。
CPAP治療をオンライン診療で行うことも可能です。受診回数を減らすことができるかもしれませんので、ご相談ください。
肺癌
近年増加傾向にある癌の一種です。男性では癌による死因の第一位です。非常に怖いイメージを持つ方も多いと思います。ただ、最近では遺伝子レベルでの研究が進んでおり様々な治療法が開発されています。それにより治療成績は飛躍的に向上しています。また手術の技術も進歩しており、最近ではほとんどの肺癌は傷の小さい胸腔鏡手術で治療ができるようになっています。お困りのことがありましたら一度ご相談ください。
間質性肺炎
認知度の低い病気ですが、無症状でこの病気を持っている方は意外に多い印象があります。間質性肺炎には様々な種類があり、その予後や治療内容は様々ですが、抗線維化薬やステロイド、吸入薬などを使用します。特発性肺線維症はCOPDと同じく肺炎の重症化や肺癌を合併するリスクが高いため定期的な経過観察が望まれます。
気胸
何らかの原因で肺に穴があき空気が漏れる病気です。若い人に発生する原発性気胸や肺気腫や間質性肺炎に発生する続発性気胸があります。症状は息切れや胸痛です。稀に喘息や心筋梗塞と間違えられることがあります。「いつ、どこで、何をやっている時に症状が出た」というようなオンセットがはっきりしていることが特徴なので、その様な症状が出現した場合にはご相談ください。
(2)消化器疾患
急性胃炎、胃潰瘍
胃の粘膜がただれることで起きる病気です。胃の痛み、不快感、吐き気などの症状が出現します。ストレスやピロリ菌の感染、薬の副作用などが原因となることが多く、治療はこれらの原因の除去が原則となります。また胃酸の分泌を抑える薬を使用することもあります。
逆流性食道炎
胸焼けや胸がムカムカする症状が出現します。アルコールや喫煙などの生活習慣の乱れや肥満、加齢などによっても生じることがあります。食道癌の原因になることがあります。治療は胃酸を抑える薬と、食習慣や生活習慣などの改善です。
急性腸炎
小腸や大腸に炎症が起こり、腹痛、吐き気、下痢、血便など様々な症状が出る病気です。ウイルス感染症が原因のほとんどを占めます。主な治療は点滴などの水分の補給や整腸剤、吐き気止めなどの内服治療です。
(3)生活習慣病
高血圧/高脂血症/糖尿病
生活習慣の乱れにより発生する病気ですが、生活習慣の他に、遺伝的要因で発症するものや、睡眠時無呼吸症候群など他の病気が原因で発症するものもあります。基本的に治療は一生続けなければいけません。そのため、無理なく納得して続けられる治療を患者さんと一緒に見つけていくことがとても大切だと思っています。
(4)感染症
かぜ症候群、急性気管支炎
鼻から喉、気管、気管支に及ぶ炎症のことを言います。原因の80-90%がウイルスによる感染症です。熱や鼻水、痰などの辛い症状を抑えることが治療となります。細菌が原因の場合には抗菌薬を使用します。近年、コロナウイルス感染症のため熱がある患者さんの受診控えが目立っています。咽頭炎や気管支炎の中には縦隔炎や肺炎となり重篤になるケースもあるため、受診を躊躇せずに症状が軽いうちに受診することをお勧めします。
発熱外来
当院では発熱患者さんと通常の患者さんとの導線を分け、感染対策に十分配慮した上で安全に診療を行っています。火曜日は発熱患者さんの診療は行っていないのでご注意ください。
発熱、風邪症状で受診をご希望される方はこちらをご参照下さい。
また、自費診療での新型コロナウイルス抗原検査(税込\8,800)とPCR検査(税込\22,000)、和文および英文での診断書の作成(税込\6,600)も行っております。
(5)一般外科
外傷による切り傷や擦り傷の縫合や処置は可能です。また骨折や脱臼の初期対応も可能ですが、必ず当院での診察後に整形外科での診察をお願いします。